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ドライウェイト(DW)

ドライウェイト(透析時基本体重)

 透析を受ける患者さんは尿が出ない状態の方が多く、摂取した水分は体にたまり続け、その分体重が増加します。透析を受けると体にたまった余分な水分を除くので、その分体重が減りますが、水分の除去が過剰になっても不足してもいけません。体の中の水分が適正な状態をドライウェイト(DW)といい、この体重を基本にしてHDで水分などを除去します。

 透析の間の体重の変動は、中1日で体重の3%以内、中2日で体重の5%以内にすることが大切です。特に高血圧対策には体重管理は必須となります。

DWを設定・管理する検査方法

レントゲン CTR

 心臓の影の大きさと、胸郭の比率がCTRです。
 一般的には、透析後に男性は50%以下、女性は55%以下と言われます。 実際には、心肥大の有無などから個人によって適正な範囲が異なります。 また、レントゲン撮影時における吸気の程度などで誤差が生じる可能性があります。 前回の撮影時のCTRと比較してDWを決定します。もし、ご自身のDWの変更が納得いかない場合は担当医師に申し出て下さい
 詳しい測定方法については『胸部レントゲンCTR』を参照ください。

hANP(読み方:ハンプ)

 ヒト心房性利尿ペプタイド(human atrial natriuretic peptide)で心房から分泌され、体液量の増加によって分泌が促される。透析後 採血でhANP100以上であればDW下げ、hANPが25以下 DW上げるというもの。つまり、透析前はhANPは高い数値となっています。また、体重の増えによって心臓にかかる負担を評価しているものです。最近では25~60pg/dlが適正範囲と考えられるという報告があります。

InBody S20(イン・ボディ)

 ドライウエイト(DW)を設定する目的、栄養状態の評価を目的として、イン・ボディを使用しております。
 現在はスポーツジムなどでも体脂肪率、骨格筋率などを測定している機器です。

 透析後の測定した体重(DW)が正しいのか? 
この検査は透析ベット上で測定を行います。
測定時間は3分程度です。

 透析中の血圧低下など、月に1回行わせていただくことがあります。

測定結果の見方

報告書の『ECW/TCW』の場所を見ます。

  • 0.41以上:浮腫あり。少し残っている可能性があります。
  • 透析患者さんは0.400の値がよいとも言われております。*1
  • 0.39以下では少しきついかもしれません。

レントゲンでの心胸郭比(CTR)とも同じですが、個人差がありますので定期的な測定で観察が必要です。

このInBodyは定期的に行っていくことで、筋肉量の変化、体脂肪量の変化など身体状況、栄養状態もドライウエイトに関係していることがわかります。

下大静脈径

 超音波エコーを利用する方法で、吸気、呼気の両方測定し、その絶対値(虚脱指数)と、吸気時の下大静脈径を指標にします。虚脱指数(CI)は、(呼気径ー吸気径)÷呼気径、で求めます。管理目標値は、透析後の吸気時下大静脈径 6~10mm、虚脱指数 0.8以上と言われています。

血液濃縮率(PWI:Plasma Water Index)

 透析前後の血漿蛋白質(TP)の濃度変化から、循環血漿量変化率を求める方法です。

 循環血漿量変化率は、透析前後で蛋白質の量が変化しないことを前提として、「1-(透析前総蛋白÷透析後総蛋白)」で表されます。
 実際その時の除水量で結果が変わってくるため、除水量が基礎体重に対してどの様な割合になっているか、すなわち体重変化率と血液濃縮の割合を比較して判定することが必要と考えられます。

体重変化率は「(透析前体重-透析後体重)÷透析前体重」で求めます。
 PWI=蛋白濃縮率÷体重変化率が2~5程度であれば、基礎体重が適正であることを示すものと考えられます。

難しい話をしましたが、
ご自身の値が気になる方は透析回診の時にご希望の方は申し出てください。

  • DWを調整している方はスタッフでPWIの値を確認をしている場合があります。
  • DWの問題のない方は数値は出ておりますが、毎回確認はしておりません。
  • DWはPWIが絶対値ではありませんので参考の一つとしております。

 自治医大の研究グループが現在も学会発表をしております。当院でも2010年から日本透析医学会(JSDT)で発表をさせていただいております。

クリットラインモニター

 透析中の除水に伴い生じる血管内容量(ブラッドボリューム)の変化を、経時的に評価することができる装置でもDWの適正をみることもできます。

いろいろ検査方法を述べましたが、検査の一つだけでDWを変更することは難しく、いろいろな検査・本人の症状をふまえてDWを変更しております。

患者さん本人の症状で浮腫(足、顔のむくみ)、呼吸苦(肺血管に水がたまっている肺水腫)がない体重が一番の適正と考えております。

ドライウエイトの管理は患者様自身だけではなく、家族の協力なしにはうまくいきません。
栄養などで分からない場合はご相談ください。