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脈波(ABI,TBI)

脈派(ABI,TBI)

下肢動脈の狭窄(狭い)・閉塞(つまる)を評価する検査です。

 近年透析患者の下肢(足)血流障害が問題なることが多く、ASO(閉塞性動脈硬化症)もしくはPAD(末梢動脈疾患)と言い、一般的に喫煙、動脈硬化が原因として考えられますが、透析患者では他に血管の石灰化(カルシウム沈着など)が原因として考えられます。

 この病気は心血管疾患(心筋梗塞、狭心症など)や脳血管疾患(脳梗塞など)との合併が多く見られます。

 症状がないものから、足の痛み、冷感、潰瘍(皮膚、粘膜の一部がなくなること)、壊疽((えそ)足先などが黒く腐敗する)までさまざまです。

 脈波といい、痛くない検査で、数値として評価できるので、足の血流障害の早期発見に有用です。

重松教授 東京医科大学外科学第二(血管外科)より抜粋

検査の見方

 PWV(Pulse Wave Velocity, 脈波伝播速度) は、心臓から出て動脈を伝わっていく脈のスピードを測定する検査です。脈は波のように動脈を伝わります。
血管壁が硬くなるほど、また厚くなるほど脈波は速く伝わります。
 物理学上、波は硬い材質のものを伝わる時に速く、柔らかい材質のものを伝わる時にゆっくりと進みますので、脈のスピードを知ることにより、脈の伝わる場所つまり動脈の硬さを推測することができます。
 血管狭窄(血管が細い)が高度になると、脈波が伝播されにくくなり、PWVは誤って低くとなります。(偽低値)その場合は下記のABIと総合的に判断します。

血管が硬化している場合

血管は土管のようにまわりが硬くなっているため、拍動(脈波)が血管壁で吸収されず、スピードが速くなります。

血管がしなやかな場合(健常者)

健常者の血管は、ゴムチューブのように弾力性があるため、拍動(脈波)が血管壁で吸収されて、スピードが遅くなります。

ABI 診断 追加検査
1.3以上 動脈壁の石灰化を疑う TBI(下記記載)
1.00~1.29 ほぼ正常 -
0.90~0.99 境界域  負荷検査、エコー、CT
0.89以下 血流障害、狭窄 エコー、CT、血管外科受診

ABI(Ankle Brachial Pressure Index, 足首/上腕血圧比)

 この検査の際に、同時にABI(Ankle Brachial Pressure Index, 足首/上腕血圧比)を測定します。 一般に腕の血圧に比べ、足の血圧は高い値を示します。ABIはほぼ正常は1.00~1.29の範囲を示しますが、これより低値の場合、足に向かう動脈の内径が狭くなっていることが疑われ、高値の場合、血管の壁が硬くなっていることが疑われます。

TBI(Toe Brachial Pressure Index, 足趾/上腕血圧比)

 動脈閉塞や狭窄を疑うとき第一選択としてABIを行いますが、罹患期間の長い糖尿病や維持透析患者では足関節より中枢(心臓に近い血管)の動脈は石灰化が著しいため、ABIが本来より高値となり、実際には動脈閉塞や狭窄があるにもかかわらずABIが基準値の範囲内となり病変を見逃す可能性があります。
 そこでTBIでは足趾血管石灰化の進行している患者さまでも、閉塞性病変の存在を測定することが可能です。
 TBIが0.6以下は狭窄などの血管障害を疑います。

下肢動脈エコー検査は当院で行っているため、ABI、TBI、サーモグラフィーで異常があった場合に行います。 下肢救済は透析患者さんにとっては命に関わる病気のひとつなのです。

脈波検査報告書の読み方

当院で配布している検査結果です。